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<ゲーム就活とらのまき>エントリーシートP社編

posted Feb 16, 2012, 3:55 AM by Akihiko Shirai   [ updated Feb 16, 2012, 8:37 AM ]
今回も,実際のエントリーシートの添削です.

P社はゲームタイトルの開発ではなく,エンジンなどの開発を行っている新進気鋭の中堅デベロッパーです.
リアルタイムレンダリングエンジンの会社で,ゲームだけでなく放送業界も強く,最近ではスマホプラットフォーム向けに自社のエンジンを無償提供しているといったニュースリリースも拝見いたしました.

以下,K君の添削の過程で気になった点です.

■受ける会社のメイン製品は?
■受ける会社のブログを読みましょう
■受ける会社の最新のプレスリリースを3件ぐらい読んでみよう
・どのような事業を押しているのか?
・製品の正式名称(R表記などもよく見ること)
・どんなパートナーと仕事をしているのか?
・どんな事業規模?特許などは?

★すべては「志望動機」につながる

自分のことを書くのは7割.
残りの3割は,自分の事ではなく,「相手と自分との関係」を書きます.
「自分はこの会社のことをよく知っている
事業ドメインも,求められているスキルもぴったりだ,
これはもう運命かもしれない,いや,この会社が私を採用しなかったら
 これはもう損失かもしれないよ」
 というぐらいの気持ちで書くべき.

もちろん本人に自身やスキルが伴っているかどうかにかかわらず,なので,
こんな文体では書かないでしょうけれど,読後感はそうあるべきでしょう.

なお,ここでの「よく知っている」を取り違えて,「僕は消費者としてこの会社の製品をよく買っています!」というエピソードをやたらと書く人がいますが,
これは『これからも弊社製品をよろしくお願いいたします』という終わり方をします.
(今回はゲーム会社や玩具会社などのコンシューマ向けではないのでそこまで知っているならいいほうでしょうけど)
いずれにせよ,自分の自己アピールを通しつつ,
「御社との関係」を語れる程度の企業研究が大事です.

なお,「これはもう損失かもしれない…」 は冗談ではなく,
そんなに優秀な学生なら,同業他社に行かれてしまうと大変です.
そんなことがないよう,人事や広報は高いお金を払って人材採用のブランドに投資しているわけです.
逆に,そのことに気が付いていない学生は,要らないかもしれないです.


ダメな例:
・自分のやってきたことしか書いてない→「当社を志望した理由」の回答になってない
・志望する会社の事を知らない→もしかすると他社でも同じこと書いてそう
 『そもそもうちの会社のメイン製品とか知らないんじゃないの?』
・何がこの会社の主力製品なのか知らない
 『うちの会社が何で儲かってるかわかってないよね』
 →全然関係ないビジネスや製品に「自分が貢献できます,貢献したいです」と言っていることに!
  (例)もう来年度には発売終了して事業部ごと解体される予定の製品に「御社に採用された時は,この仕事で一生食っていきたいです!」と言っている

  もちろんこんな学生でも運とスキルがあれば採用されるかもしれませんが,会社に入ってから冷たい風が吹きます.
  というか今の日本企業で,新卒学生に冷たい風を吹かせる余裕がある部署などないので,やはり不採用となります.


★「希望する職種にチェックを入れてください」という設問は釣り

職種とその理由に時々,
「希望するチェックを入れてください」という設問があることがあります.
ここには,絶対やれない,と断言できる職以外はチェックを入れたほうが良いと思います.

一見,アンケートや志望意志のようですが,以下の事を見極める簡単な「釣り質問」です.

学生の視点ではこんな感じ(左)ですが,企業の見方は「→」です.

(1) やりたくない,向いてない,考えたことない
 →アマチュア.こんな同僚は不要.

(2) 考えてみたが,よくわからなかった
 →その企業への研究が足りない.そんな人が隣に座っていてほしくない.

(3) これを選んだら負けだと思った
 →そんな職業をわざわざ募集しません,学生が知らないだけ.

選べばいいというものではありませんが,
チェックを選んだ回数だけ,選考の可能性が増えるとしたら?

 …たくさん履歴書書いたり,最終的に「無職」になってしまうのと,
 行きたかった企業に「知らなかった職業」を提案されるの,どっちがいいですか?

ちなみにこの問答は,書類通過後の面接でのFAQとなります.


★「使用できる言語/ソフトウェアにチェックを入れてください」

「使用できる言語/ソフトウェアにチェックを入れてください」という質問も要注意です.

うちの会社で使うから,リストにあるんです.
もちろん「COBOL」とか,書いてあること悩むもあると思いますが,知っているならチェックを入れたほうが良いと思います.
さすがに「enchant.js」とか書いてあればさすがに釣りかもしれないですが.

知っている言語,学ぶ機会がありそうな言語なのに「なぜ,チェックが入っていないの??」と振り返ってみてほしい.
無料で学ぶことができる言語であればなおさらです.
個々の言語もさることながら,「自分で学ぶスキルがあるかどうか」,そのスキル不足に対して本人が疑問に思っていないか?と言ったところを見ていると思ったほうが良いです.

もちろんウソはいけませんが「使用できる」には幅があると思います.
英語や外国語などの選択肢も全く同様です
ビジネスレベル,日常会話程度,TOEIC600点程度,といった「程度」が分かるレベルなら,書けるということです.
「Hello World程度」でも「使える」うちには入りますよね?
『えっそんなレベルで書けるんですか?』という学生がいますが,
じゃあ逆に質問するけど「稼げるレベルのプログラミング言語を書いてください」って書いてあったら誰がチェックできますか?
中途採用ならともかく,新卒採用で大学出で知識として「知っている」ならチェックしたほうが得です.
むしろ無印であることのリスクを考えてください.

【追記】結局,K君の場合は,「思い起こせば全部チェック入れられました」というレベルでした.KAITには自分のハードルが高い学生が多いですね・・・.

★「N年後の自分がどうなっているか,自由に書いてください」

たとえばN=20年だったとします.
まずは全体の機関である,ゴール,つまり20年後を考えてみてください.

2012→2032年,自分は何歳?
そのとき,自分は社長?部長?平社員?

…どう考えても「会社を支える側」だとおもいます.

会社を支える側の人が,「リーダーシップ」,「チャレンジ」,「責任」と言った場合,
どのようなものが考えられますか?
少なくとも,大学生の仲間内で使っているそれらの言葉とは意味が違うと思います.
しかも,いわゆる”普通のオッサン”が考えるような話をしてもつまらないと思います.

その「普通のオッサンじゃないリーダーシップ」は,いったい,いつ,どうやって,身につくのでしょうか?

それは普通ではないチャレンジ,責任感,リーダーシップに基づく体験,経験によって生まれると思います.

また,人間の人生として,結婚したり,子供を産んだり,家を買ったり…といったイベントもあると思います.
その辺が時間軸に設計できていない人は「いつまでも学生でいたい」といった印象のある文章を書きます.
「チームのリーダーとして」と書いた時はその辺も考えたほうが良いと思います.

・当たり前の事を書くときは覚悟して書く
・世間的なロードマップと自分のロードマップを対比して書く
・ビジュアルはきれいなデザインなだけでなく,機能的に描く.

以上に気を付けるとよいと思います.

大学卒の20年後にはほぼ確実に,経営者としての資質を見られていると思ってよいでしょう.
学生の多くは「オレ,単純なスキル労働者として生きていきたいし」と思っていると思います.
しかし,それは専門学校卒の最初の2年ぐらいまでしか通用しません.

使い捨ての人材,として35歳になったらポイされるのをご希望ならともかく,
このような設問がある企業であれば「35歳以降の使い道はあるのかな?特に経営者として…」という視点で見られていることを意識しましょう.

もちろん新人としての謙虚さ,フレッシュさは必要ですが,
そこからどうやって連続的に25歳,30歳,35歳,40歳…と成長していくのか?
キャリアプランを聞いています.
もちろんそこには相手の会社の企業研究も必要です.
「部長」や「課長」といった呼び名はありますか?「マネージャー」や「リーダー」といった名前ではありませんか?
マクドナルドの「トレーニー」のように,それ自身が成長を助ける命名になっている企業もあります.
「独立支援制度」のようなものを取っている会社もあります.
「社長の理念」やブログなどでそのあたりが語られていることも,多々あります.

奥ゆかしい日本の企業内では
キャリアプランは社内に入るとなかなか語られることはありません.
だからこそ,
何を考えているか分からない,会社にすべての責任をかぶせるタイプは採用したくないでしょう.
そんな理由もあって,キャリアプランが明確でない新人は,人事的には入れたくはないのです.
このあたりは,入社後の昇級試験でも同様です.

★20年後を書くのは難しいが,20年前なら書ける.

IT業界で20年先を占うことができれば大金持ちになれるといいます.
書籍「WiiRemoteプログラミング」では,この課題に対して,10年前を見ることで10年後を占いました.
20年前を考えて,その社会と人々が今何をやっているか,考えると,それほど難しくないでしょう.
いまから20年前の1991年に,K君は生まれたわけです.
時代はファミコンからスーパーファミコンに移り変わりました.
Windows95はその3年後に登場します.インターネットが爆発的に普及しました.
WindowsXPの登場はもうほんの10年前です.K君は10歳で初めてパソコンを触ったそうです.
そしてWindowsVistaの時代に大学に入り,Windows7の時代にIVRCに参加し,Windows8やWindowsPhoneの時代に就職するわけです.

昨年は,大震災があり,原発事故が起き,日産がEVを発売し,本格的な地デジ時代が始まりました.
10年後にはGREEやモバゲーのプラットフォームはどうなっているでしょう?現在のPS3と同じぐらいのスマホが現れるのはいつごろ?
…といった”社会背景”(本人には2時間ほど個人レクチャーしていますが)抜きには,ロードマップは描けないでしょう.

そこで,グラフィックス野郎になるなら,どんな資質が求められますか?
まさか25歳でやっていた仕事を35歳でも45歳でもやっていられますかね?
やれるかもしれません,
「あのころは初音ミクでガツガツ作ってたけど,いまはXXです」
という人もいるかもしれません.
でも同じ画質,同じクオリティではないでしょう?
(いまファミコンのゲームを見た人が,それで食指が動くわけではないように!)
ちなみにアナログ→地デジになるだけで,720x480→1920x1080になるわけです.
そりゃあ同じテクスチャーでは無理ですよ.他ももっと綺麗なわけだし.

…でも,ものづくりにかける魂やメソッドは変わらないです.
成功体験も失敗体験も重要です.
25歳以下の若者にはそこは具体的に訊いておきたいでしょう.
例えば,
「自分は髪の毛のモデリングについては負けません!」とか
「金属の質感?そうですね~プリレンダーならこの手法,スマホでリアルタイムならこの手法ですかね」とか
「ええ,Unity3Dいいですよね,でも実際に制作すると,こういうことが難しいんです.これは他の開発者も辛いと思う」とか
「ええ,うちのチームにも,そういう技術に拘りすぎて締切に完成しないタイプのエンジニアがいて苦労しました.私もわかるんですけど,こうするべきだと思います」
…といった具体的な話が出てきて,はじめて


「20XX年には,XXがXXしていると思います!」   (←そのうち伏字抜きで公開します)

といった,
『おお!これは儲かりそうだ,しかもうちの会社のど真ん中ストライクだ!』
という具体的な提案ができて,
『えっとー,それを実現するためには,君を雇ったほうがよさそうだね!?』
という話になると思います.

だいたいこれぐらいのことが書けると,S~Aランク評価になると思います.

エントリーシート におけるヒエラルキー

面接・エントリーシートなどではかられるスキル面は以下の4ランクぐらいに分類されます.

Sランク:1万人にひとりの逸材   アンテナがよい,経営マインドもあり,スキルも高い,クリエイティビティとイノベーションが服を着て歩いている,しかも笑顔がよい.
Aランク:1000人にひとりの逸材  プロ学生,プログラミングや発想力など何かひとつの才能に関しては世界レベルに高い.面接してみないとわからない.
Bランク:100人にひとりの逸材   高校で言うと2~3クラスにひとりぐらいいる変な奴,頭いいやつ,お調子者,影の薄い奴のどれか.
Cランク:10人にひとりの逸材    「仲間」って感じの集まりにはいるけど,名前を覚えるレベルにならない.「友達」にはならない.
ランク外:1人にひとりの逸材    もしかすると最高に個性的.でもそれを日本語でも書けないんだから,やっぱり未知数.めんどくさいので面接には呼ばない.

これに加えて人物面,見た目,大学のブランド,会社との相性,その他条件,縁や運などが加味されますが,
S~Aランクの学生はどこ受けても受かりますし,何社も内定とります.

Bランク以下は運がよくないと難しいです.
またBとAの間には明らかな谷間があります.
研究室などの先生とコミュニケーションをとって,エントリーシートなどを見てもらえば,BからAに行くのはそれほど難しくないですが,
多くの学生がC→Bを目標にして,締め切り間際にひとりで
マスターベーション的な臭いがするエントリーシート
…を書いているのがこの時期によくある現象ですのでご注意ください.






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