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<ゲーム就活とらのまき>履歴書から学ぼう

posted Feb 4, 2011, 4:11 AM by Akihiko Shirai   [ updated Feb 4, 2011, 5:30 AM ]
さて、雪もちらつくこの時期ですが、4年生は卒業論文で死にそうな毎日を過ごしているものと思います。
実際、人生において初めて、自分の名前の付く著作を書く、ということです。
ジブリ映画「耳をすませば」で、雫ちゃんが初の作品を書き上げた時のような大変さがあります。
M1はともかく3年生は来年の今頃を思い起こしながら就職活動するとよいかもしれませんね。

さて、今回は履歴書とエントリーです。
白井研では匠くん(M1)が白井研内部での就職活動指導をさらに文書化してくれておりますが、
さすがにそれを全公開すると白井研のノウハウまでダダ漏れしてしまいますので、抜粋してお送りします。

■英文履歴書から学ぶ

まず、第一に「日本の履歴書は、ある意味学生に優しく、ある意味難しい履歴書である」
ということを述べておきます。
『えっどういうこと?』という人は、まず英語の履歴書を読んでみるといいでしょう。
Googleで「CV sample」と調べると、英文履歴書のサンプルを見ることができます。
そこには自信満々で自己主張するCVが表示されるはずです。
ここから学ぶ事は多く、また現在の人材市場、特にゲーム関連はこの手の海外からのタレント(才能)と戦わなければならないのですが、この話はハードル高いのでまたの機会にします。

■いかに楽しい日本語を書くか

英文履歴書と日本語の履歴書が異なる点は「いかに情報を整理して美しい日本語を書けるか」に集約されます。
また「美しい文字ではないけど楽しそうに書いていることが伝わってくる」ことなども重要です。
ですから「手書き」を指定する企業が多いのです。

■手書きと効率化も重要なスキル

まずは左側。
履歴書が完成したらコピーは取りましょう。印鑑は最初に押しましょう。
いちいち年号などを調べるのは時間の無駄です。そして人間、書き写すのは得意です。
「履歴書は手書き」、これは前提かもしれません。しかし、緊急時に備えて word 等で履歴書を作成しておくこともオススメです。
企業に提出が間に合わないくらいだったら、印刷した履歴書で応募してみる。
また特にJISなどの指定がない限り、word で作成した履歴書の構成は、ある程度のカスタマイズも可能でしょう。
例えば「受賞」などの欄があり、1件も書くことがなく、その空白の代わりに自己PRを削らなければならないなら…どうしますか?

手の筋肉が温まったら、続けて2・3通書いてしまいましょう。
ボールペンではなく、万年筆など書きやすいペンを探すことも重要ですね。

■まずは履歴書の「右側」

履歴書の右側では主に「素性」を見ています。
写真の顔、字の美しさ・丁寧さ、ハンコの押し方(向き・濃さ)
証明写真は「真面目な顔必須」なんて書いてないので、軽く笑顔でも良いくらい。元気がなさそうだったり、死んだ目をしてるよりは良いです。
また、作成のコツとして、ハンコは最初に押しておくと良いです。全て記入した後、ハンコで失敗してやり直しになると、泣くに泣けません。

「E-Mail」、すでに扱いましたが、学内のアドレスなど、素性の知れたものを使うこと。
「住所」、実家の住所を見ています。主に、会社に通いやすいかどうかなど。同じ出身県民だったら面接での会話のネタになるなど、その程度のこと。出身高校なども同様。

「学歴・職歴」、浪人・留年していることを隠してもしょうがない。採点基準として、1年浪人は「+1年」、2年浪人は「+2年」と考える。つまり、2年浪人/留年≒院生出ているレベルの実力を求められる、ということです。いずれにせよ浪人/留年・卒業遅れ等はポジティブな理由で返せるようにすること。
(例)「世界一周旅行をして、人生経験を積んでいました」、「ボランティアで海外青年協力隊にいました」等

「資格・免許・記録・賞」、資格は「取得中」なども可。資格は大事なもの・すごい順・新しいもの順に記入。1行1件でなくても良い。就職活動や面接のネタになるようなものも書く。IT 系の会社に「危険物取扱」を書いてもあまり効果無いですが、書かないよりは良い。取得理由をバッチリ説明できれば良いです。
「ただなんとなく取得してみました」で書くのはやめましょう。そして「嘘」でなければ、より良く伝わるように書きましょう。
(例)「IVRC2010 決勝大会進出」 ⇒「国際VRコンテスト(IVRC2010)決勝大会選出・世界11位」


■戦略を立てよう

履歴書の左側は相手(提出先企業)によって変わらない情報です。
しかし右側では、どういう人間であるかをアピールする戦略を立ててから臨みましょう。
「自分は人間力の高いところをアピールしよう」
「自分はスキルの高いエンジニアであることをアピールしよう」
といった方針です。
それを考えずに「書いてみたら、人間力もそこそこありそうなスキル中途半端なプログラマです」といった”随筆”では
評価するほうもプラスの点数を与えることができません。
そして、プラスの点数として測りやすい相対的な指標やキーワードを盛り込みましょう。

例えば、人間力でいえば資格、簿記会計・漢検といったものに加え「少年野球部コーチ」などもわかりやすいキーワードでしょう(有効に働くかどうかは相手企業との戦略によります)。またIT系 スキルでいえば資格の種類や数も大事ですが、Web系なら「カラーコーディネータ」などもプラスに働くでしょうし、「コミュニケーション能力の高いプログラマです」と書くよりも「大学の演習でTAとして採用され、コミュニケーション能力の高いプログラミングスキルの経験となりました」といった表現にしたほうがよいのではないでしょうか。
そのあたりも「戦略」あっての作文です。間違っても随筆で書くべきではありません。

■時間をかけて「右側」を書く

右側の記入内容は時間がある限り、企業毎に変えてください。
たいていバージョン6や7ぐらいにならないとまともな履歴書になりません。
そしてそのバージョンを上げるためにたくさんの企業を受け、企業研究を重ねていくべきです。

全体の読後感が一貫しており、その企業に対して書いている、この企業に向いている、役に立ちそうだ、儲かりそうだ、とわかるストーリーになっているとGOOD。
逆に、「自分のことですらこんなにスパゲティな作文ができる学生は、何を書かせてもダメだろうな」と思われたらENDです。

※悪い例:
「御社は幅広い事業領域を展開しており・・・」
→同じ業界の、他の企業でもあてはまりませんか?
「ホームページを拝見して素晴らしい企業だと感じ」
→ホームページのどこを見てどう共感して、どうしたいから志望したのか?を書かなければ、
「この履歴書はコピペだな」とゴミ箱直行コースです。

採用担当をうならせる履歴書の流れとしては、
「志望動機」→「論文・研究での具体性・スキル」→「自己PR」でダメ押しするイメージです。
とにかく各記入内容に「ストーリー」のような一貫した流れがある必要があります。

そもそもここでの履歴書やエントリーシートの目的・目標は「面接に呼んでもらうこと」です。
「私を面接に呼んでくれれば、儲かる話をします!」というメッセージが伝わるように書きます。
「あなたの会社は○○が足りてないから、こういうことしたら売れます」と提案できると強いです。
『新卒の私がそんなこと書けるはずないですぅ…』と思うかもしれませんが、実際に企業は自社に「ある程度の新しい風」を求めて新卒を採用します。「許容できないほどの荒くれ者なら見てみたい」と思いますし、「音楽鑑賞、読書?そんなの捨てるほどいるよな」という学生では見てみようとも思わないわけです。どちらが面接に呼ばれるかといえば…前者ですよね。

「志望動機」…神奈川工科大の履歴書を例にすると「志望動機」は6行あるので、だいたい以下のような配分で考えるとよいでしょう。
2行:企業との接点・企業の特徴
2行:自分の発揮できること・スキル・どの分野部門で大暴れしたいのか
2行:自分のやりたいこと
このような構成で書き分けてみましょう。これで企業とのミスマッチする確率も大幅減です。

「論文」…この時期に卒論ほったらかして就職活動している学生さんには痛い項目です。
しかし3年生のゼミや研究室の志望動機、先生方とのディスカッションで書けることはあるでしょう。
素晴らしい「仮の」研究テーマを先生とディスカッションし、頂いてください。
まず、この研究における具体的な成果を上げ、世の中の何の役に立って、何の意味があるかを説明できること。
そして「この成果を御社に持ち込むことができまっせ!」というにおいをさせること。

とにかく専門ではない社長さんが読んで「実現したら金になりそうだな」と思わせたら勝ちです。
企業側からすると、新卒1人を採用するとして最低400万ほどの費用がかかっているわけですから、最低でも400万円は儲けられそうかどうかを聞きたいわけです。
逆に「お金にならない研究です!」と言い張ることは潔いですが、そんな学生を企業に入れるリスクは大変に大きいものです。
(ですから有名大学卒であれば必ず成功する、という時代でもないということも言えます、残念ですが)
でも私は技術に対して純粋科学も大好きです。
例えば「はやぶさ」の研究は一般的に「お金にならない研究」かもしれません。
しかしその周辺技術や、「はやぶさ」に引きつけられる人々からもビジネスは生まれます。
そこで一番不要な人材は一生懸命やっているのにもかかわらず「役に立ちません」と言って放つ学生でしょう。

さて、卒研がらみの項目ですが、注意点としては、「○○と考えた」「○○します」という書き方です。
まず「成果が上がってない」と思われますし、「考えてないでやれよ」というツッコミをもらってしまいます。
就職活動忙しくしている学生には気がつかないかもしれませんが、世の中そんなもんです。
ウサギとカメならカメでも研究すすめて自分に自信がある学生のほうが最終的には勝利します。

「自己PR」…まず、いいたいことは最初に書きましょう。
全体を「ポジティブなワード」で文章を構成しましょう。
「避けた」「逃げた」「できない」などはネガティブワードです。
仕事に対してポジティブな姿勢であれば、ネガティブワードは出ないはず。
それは面接時にも関係してきます(次次回で扱う予定)。

■他人が評価できるように書く

自己PRに限った話ではありませんが、「他人が評価できる」ように書き、絶対に測れる方法でアピールすることは重要です。

ダメ例1:「友好関係を作るのが得意です。」
例えば、「友好関係を作るのが得意で、メールアドレスに友達 100 人のデータがあり、いつでも相談に乗ってもらえる宝です」

ダメ例2:「自分のアイデアにはオリジナリティがあることが強みです。」
例えば「オリジナリティがあり、私が企画したアイデアが東京ゲームショウのイベントで採用されました」ではどうでしょう。

「得意科目」…「得意」と言われて怖気づいてしまいますが、「好きな科目」などでも良いと思います。
最低なのは「特にありません」と書くことですね。大学生として最低です。
海外の履歴書を見ると、得意分野や学習した言語やツールを羅列しています。嘘はダメですが、書かれているだけで「スゴイ感」がしますので、空白にだけはしないこと。
英文CVの例「Virtual Reality, 3D Modeling and Animation, CAD, Virtools, Unity, Adobe Master Collection CS5」

「学外活動」…クラブやサークル活動をしていなければ、地域のボランティア活動、アルバイト、研究室での各イベント準備等も書いて良いと思います。そういった経験を含めつつ学んだことや苦労したことをアピールするわけですが、ここでも「他人が評価できる」ようにすることが重要です。

例1:「接客業を通じて、お客様に対して丁寧な対応ができるようになった」
→「お客様からのアンケートで、最も接客対応が良い店員に選ばれました」とか。
例2:「ピザ屋でバイトしてました」
→「ピザ屋のデリバリーを通して、玄関を見ればその家がどんな家庭であるか見抜けるスキルができました」

「趣味・特技」…履歴書の最後の項目なので、良い話で終わるためには良い趣味を書きたいところです。
月並みな趣味で終わらせないようにしたいところ。どういったことに対して、時間を割いても「苦」としないかという点も見られています。

良い例1:「相模川キレイにしよう活動に参加しました」
良い例2:「10 年間ピアノとエレキギターを演奏、月に 1 回はテニスの大会に参加」
→これは「悪い印象を持ちようがない」という例です。さらに例2は「健康的で、芸術的素養もあるのか!」と思わせる効果もあります。

■ここまで読んだら右側書けなくなった人に…自分の消費行動を見直せ!

ここまでの文章を読んでもらうと、志望理由を書くにあたっての企業研究が非常に難しく感じると思います。
企業との接点がまるで見つからない人は、自分や他の人の消費行動から見つめてみると良いでしょう。

例1:クルマで考える
「Q:自分の消費行動:ここに 400 万円あるとします、どこの会社の車を買いますか?」
『A:トヨタは嫌です』
「Q:なぜ?ぜひ聞きたい」
…と、採用担当も同じことを考えるわけです。

例2:ゲームで考える

「他人の消費行動:ヨドバシカメラでゲームを買う人を観察してみた」
・セガのゲーム = ちょっとオタクっぽい、ハードゲーマー
・任天堂のゲーム = 家族が多い、ライトゲーマー

以上のように、セガと任天堂の間には「違い」があることがわかるでしょう。
(実際に観察してみてください、もっといろいろわかります)

これらを踏まえると、「ゲームが作りたいから御社を志望します」といった、
どこのゲーム企業にでも当てはまりそうな志望理由は書けないはずです。

志望する企業の製品が「嫌い」であってもかまいませんが、なぜ嫌いなのかは説明できるようにしておきましょう。
注意としては、その企業の製品がただ「大好き・万歳!」な人は、採用したいとは思えないのではないでしょうか。
好きなだけであれば、採用することとは別で、
「これからも我が社の商品をヨロシク!」で終わります。
そして、そのほうがお互いにとって幸せです。

■面接への布石

面接試験については次次回にとっておきます。
(次回は「エントリー」を扱う予定です)
ちょっとだけ予告しておくと、面接官は受験生の甲冑や鎧を全て剥いだ上で、その裸の部分を見てきます。
『尋問されている~!!』などと思い始めたら、どんどん追い詰められて終了です。
裸にされて、誘導尋問されているのを楽しむくらいでちょうど良いでしょう。
面接官に対し、「自己啓発できるような機会をくれて本当にありがとう☆」と思えるくらいの心持でいきましょう。

そしてフルボッコにされても、最後の質問で
「今日は面接していただき、ありがとうございました!!!泣」と言えるタフさ、
真摯な紳士であること、真剣であることが重要です。

さらに忘れてはいけない「社員の立場」からすると、未来の社長の座、
マネージャー/プロデューサーの座を奪うライバルが増えるわけですから、面接で足払いや罠のような言葉をかけてくるのは当然です。そのつもりで受けましょう。


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